「私」の倉庫

いろんな「私」がここへ逃げ込んできます。

「生きていたんだよな」と「夜に駆ける」

歌にめっぽう疎い私もこの1年位で少しずつJPOPを聴き始めました。そんな中で出会ったのがあいみょんの「生きていたんだよな」2016年にリリースされていながらやっと知りました。

直接的で淡々とした語りの部分と心に響く歌詞。親友を自殺で亡くした自分にとっては痛いほど刺さりました。(この話はまた今度)

 

なぜかリンクが貼れないのですがOKMusicでのインタビューにて「私自身は“くそ生きてやろう!”というタイプですから。めっちゃ生きたくて、死にたくないタイプ(笑)。」と答えています。そんな人にもこのような歌詞が書けるんですね。また「命を題材にしたこういう曲だからこそ、分かったようなことは歌いたくなかったんです。」とも答えています。とはいえこのような表現ができるのはあいみょんさんだからなのだろうなと思います。貴方純愛解剖歌で「死ね」と歌ってる人と同じとは思えません、笑

 

世の中には死にたい人とそう思わない人がいて、思わない人の中には「死にたい」をわかる人とわからない人がいると思っています。よく聞こえるのはその分からない人達の声。「なぜ?」「いきていればいい事があるかもしれない」「死ぬことは逃げだ」正直そんな言葉は聞き飽きてて。どんなメディアでもそういった否定的な言葉が流れるのは「自殺を肯定してはいけない」ことにあるのでしょうが、不快でしかないですね。何を思って、何をわかったようなフリをしてそんな言葉を紡げるのでしょうか。そんな風に思ってしまいます。私は「死にたい」側の人間なので。

そんな聞き飽きた言葉ばかりの中でこの「生きていたんだよな」は自殺について全く止めようと、否定するような言葉は見当たりません。

 

「今ある命を精一杯生きなさい」なんて
綺麗事だな。
精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ
鳥になって 雲をつかんで
風になって 遥遠くへ
希望を抱いて飛んだ

 

ここは私のお気に入りの部分です。死ぬことは決して逃げではなくて、自殺をする人にとってそれは最後の希望なんだろうな。そういう風に考えられます。希望のない現世から自殺という方法で飛び出して、次に向かうであろう世界へ希望を持って向かう。もし私も自殺するのならきっとそんな気持ちで飛び立つと思います。

そして自殺した友達もそうだったのかな、と考えると悲しい気持ちにもなります。彼女が最期に何を思っていたのか、分かる術はありませんが…希望の持った最期であって欲しいなと思います。

 

 

そうして「生きていたんだよな」について調べているうちにYOASOBIの「夜に駆ける」の文字を見つけます。この曲もつい最近知ったばかりだったのですが、まさか自殺が関係してるとは全く思わずに聞いていました。歌詞をそれほど覚えていなかったのもありますが…耳に入っていた言葉を思い出しても思い当たりません。ちょっとボカロっぽいよなと若干の親しみやすさを持った程度でした。(wikiで調べたところコンポーザーのAyaseさんはボカロPなんですね)

そもそもYOASOBIさんが小説投稿サイトにて投稿された小説を原作として作曲をしている事すら知りませんでした。「カゲプロっぽいな、なんだろ」と思った時に「原作が〜」と言うようなツイートを散見したのはこの為だったのですね。夜に駆けるの原作「タナトスの誘惑」無論読みました。歌だけでは自殺に全く気付けなかったし、シンプルに気になりました。約1800字の短い小説なので短時間で読めました。

 

ここから先「タナトスの誘惑」のネタバレを含みます。

 

マンションの屋上で自殺を試みて居た所を助け、出会い付き合った僕と彼女。

彼女は死に対する欲動「タナトス」に支配されている。そんな彼女には死神が見える。死神はそれを見る人にとって一番魅力的に見えるそうで、死神を見つめる彼女はまるで恋する女の子のようだった。

彼女の自殺を止めることに疲れた僕は「僕も死にたいよ!!」という。その言葉を聞いた彼女は笑っていた。彼女は僕にとっての死神だったのだ。彼女と僕は手を繋ぎ、夜空に向かって駆け出した。

 

凄くざっくりとした感じになってしまいましたがこんな内容の小説でした。しっかりガッツリ自殺を取り扱った作品でした。私の書いたあらすじはつまらないことこの上ないですが実際の小説を読むとめちゃくちゃ面白いです。世界がひっくり返る瞬間が、特に。この小説に出てくる「エロス」と「タナトス」は神話ではなく心理学の用語らしいですね。タナトスに支配されてる人間にしか見えない死神のその姿は理想の姿、というのはこの小説の独自の設定だと思います。この設定がまた伏線に重要に関わっているんですよね。

 

結局この投稿で何を言いたいのかよく分からない感じになってしまいましたが、生きていたんだよなで言った「死にたい人間」と「そう思わない人間(生きたい人間)」はエロスとタナトスに結びつくわけです。たまたまです、たまたま結びつきました、笑

 

こうして自殺について考えている中で、自殺した友達の存在は切り離せないわけです。少しずつ、その子の事とか私自身が自殺について思ってることとかを書けていけたらなと思っています。